Vol.4
「movBot® Nurse-Care」は、介護する方の負担を軽減するために開発された手動型の車椅子です。
この車椅子はフルフラットにできるため、介護する方が、ベッドから車椅子、車椅子からベッドへ、介護される方を抱きかかえる作業をしないで移乗作業ができます。
私たちが目指のは、介護する方の体力的・精神的な負担を減らし、介護される方がベッドから離れて、家庭の団欒の中での生活ができ、介護を受ける方々の精神的負担を減らせるものを提供することです。
*移乗作業……ベッドから車椅子、車椅子からトイレ便座など、介護する方が別の場所に安全に移動させること。介護する方にとって大きな負担となる作業の一つ
まず既存の車椅子における課題を洗い出すことからスタートしました。 「ご要望の品、地球の隅々を、あるか、ないか調べます。ないなら造ります。」というのが当社のコンセプトなのですが、地球の隅々までどのような車椅子があるが徹底的に調べました。
現在の車椅子(電動を含む)は移動を目的としおり、それ以外の対応ができていないことが判りました。
特に、介護の現場で介護する人が、車椅子から他への移乗作業について問題を抱えているということがわかりました。
移乗作業時に、介護する方が介護される方を「抱きかかえる」という作業があり、その作業で、介護する方の腰痛や、作業中の事故による怪我等があり、移乗技術がない方は、移乗作業ができません。
「移乗技術がなくても、安全で、作業負担がない車椅子を創る」という思いで、この製品を開発しています。
調査の結果、車椅子にはリクライニング機能がついているものがありますが、完全にフルフラットにできるものが存在しないことがわかりました。
抱きかかえ無しに移乗する為に、車椅子のリクライニング機能と、移乗ボードを使用して、移乗する方法があります。
その作業は、ベッドと車椅子の高さの違いの為、車椅子側で、移乗ボードの正しい取扱いをしないと、介護される方の落下の危険性がありました。
そこで当社では、車椅子を完全にフルフラットにし、車椅子を、ベッドの高さと合わせることがきるように設計しました。
これにより、車椅子をベッドと同じ高さで水平移動ができ、「抱きかかえ」作業なしに、ベッドから車椅子、車椅子からベッドへと安全に移乗することができます。
さらに、移乗をよりスムーズにするための器具として「移乗ボード」をオプションで準備しています。
その通りです。これまでの車椅子は移動のことだけを考えていて、他との連携のことは考えられていませんでした。
車椅子があってベッドがあって、その間の移乗については釣りあげたりする別な機具があったりと、不思議なことにそれぞれ縦割りになっています。
movBot® Nurse-Care はこれらを1つの車椅子でできてしまいます。
移乗だけでなく、利用者の現場をしっかりと見れば、車椅子で解決できることはまだまだたくさんあります。
その通りです。施設でも、在宅でも、介護においてトイレは大きな課題の一つです。
通常、トイレを利用する場合、車椅子からトイレの座面へ移乗が必要になり、自宅のトイレは狭いので移乗の際、介護をする方の負担はかなりなものになり、場合よっては、おむつでの対応になっている現状があります。
movBot® Nurse-Care は、「自宅のトイレで、車椅子に乗ったまま、自力排泄ができる」ように開発しました。
これも車椅子を単なる移動の手段として捉えるのではなくて、介護をする方の負担を軽減するための装置としての視点で捉えているからこその機能です。
特に、おむつを使わないで、自力排泄ができることは、介護される方の精神的抑圧の軽減となることを、先日、ご尊父をお見送りになった方から「厳格な父の介護の際に、これがあれば・・・・」との声を頂き、これからの介護の生活を送る方々の為に、更なる研鑽を踏むことを、改めて、胸に刻みました。
はい、当社の他の車椅子は電動ですが、この Nurse-Care はあえて手動型にしています。
それは家庭での介護を考えた時に、手動の方が安全で使いやすいと考えたからです。手動型にすることで電動と比べてコストを抑えられますので、多くのご家庭で導入しやすくなるというのも理由の一つです。
フルフラットにした際に、ベッドの高さに合わせて手動で上下できるハンドルをつけています。これによって、スムーズに高さを調整でき、介護する方の負担も大幅に減らすことができます。ハンドルは回す必要はありますが、力を必要とせずに回せますのでご安心ください。
多くの介護される方は、自宅で家族と一緒に過ごしたいと考えています。
しかし、介護する方にとっては、その負担が非常に大きいのが現実です。
Nurse-Careを使うことで、介護する方の負担を軽減し、介護される方がいつも団らんの中での生活できるようになればと思っています。